BCウッド日本事務所


カナダ 世界リゾート地の舞台裏 part. Ⅱセミナー　ハイライト― テーマ　ワインツーリズム木造建築―





2021.04.08



ワインツーリズムのセミナーの舞台、オカナガン・バレーの中心部にある山と湖の間に現在建築中で、ワイナリー・多目的円形劇場などが集まり、CLTや大断面集成材を用いた最新のワインツーリズム建築プロジェクトなどについて講演が行われました。





【講師】ロバート・セスニック HDR建築設計事務所　建築設計士

https://www.hdrinc.com/

住宅、商業施設、ホスピタリティ施設に特に精通するLEED認定の専門家。オカナガンの気候と文化に合わせた革新的な設計ソリューションで知られ、マス・ティンバーを使った建築を多く手掛ける。


HDRは、世界に事務所が225所あり、１万人の従業員が働いています。教育、医療、公共工事、ワイナリー、ホスピタリティなどのセクターと、カーボンフットプリントを減少させながらマスティンバーを活用したプロジェクトに取り組んでいます。

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セミナーハイライト





最近のマスティンバーを使った例として、シアター、レストラン、クラブハウスなどがあります。CLTは、大きな変化をもたらしました。私たちの戦略は、木の温かみ、美しさを取り込んでいくことであり、それは木の美しさを祝うということでもあります。



こちらは、40階建てのタワーです。コンクリートに比べてカーボンフットプリントを減らすことができる利点があります。



建築予定の12階建てホテルをご覧下さい。コストの面から木を使うのではなく、木の感触や美的感覚を大切にしたプロジェクトで木を露出して使うように設計しています。



このシアターをリノベーションしたワイナリーでは、グルーラム集成材の梁や柱、2×４といった素材を活かし、魅せる建築を行なっています。集成材の梁による巨大なトラスが空間を印象付けています。



今日のメインテーマであるワインビレッジについてお話しましょう。このような形態はカナダでも初のワインビレッジになります。



通常のワイナリーは、左上のように農園の中にワイナリーがありますが、ワインビレッジは左下のようにワイナリーのグループになります。右が全体図になりますが、フェーズをいくつかに分けて建設します。ワインを売るだけではなく、人々が年中通じて活動できるような場所にしたいというコンセプトが背景にあり、同心円上の真ん中のスペースがソーシャルスペースとしてチャンスがあると感じました。



ワインビレッジは、地理的や道路からの位置としても、多くの人が集うには完璧なゲートウェイになっています。小規模なワインオーナーの初期投資が少なくて済むなど、いろんな利点が含まれます。



こちらが具体的なイメージになります。真ん中のスペースは、社会的なアトラクションが行われる人々が集うイベントスペースとなります。



また、各ワイナリーは中心に向かって開いてパティオを配しながら、それぞれの特徴を出すこともできます。料理を作るスペースは共同にするなど、ビレッジとしての機能も考えられています。



このように村のような形態ですが、いろんな形を作りたいと考え、バラエティに富んだワイナリーが並びます。



中央の構造物は、マスティンバーを使っています。傾いた形で作り、カバーは幕天井があり、その下では夏は楽しむことができることはもちろん、冬はスケートリンクとしてオールシーズン楽しむことができます。オールシーズンのツーリズムとして、駆動力となる存在です。



違う角度から見ると、このように各ワイナリーからのパティオでは人がくつろぎながら試飲をしたりお話をしたり、それぞれの個性を大事にすることができます。



それぞれのワイナリーでは、３つのスペースを考えました。入り口のアウトドアのスペース、屋内の試飲スペース、そして生産スペースです。



共通のコンセプトを使う、というところも重要で面白い点です。



ワイナリーの間にあるスペースも非常に重要です。それぞれを行き交うための助けになるだけでなく、こんなところにこんなものがあるという発見をしてもらう散策にもなるということです。そこには、景観も取り入れています。



これは料理を作る建物になりますが、とても美しいマスティンバーを見せる形にしています。中央の構造物とうまく調和し、自然観が醸し出されています。



第２フェーズでは、より大きなワイナリーを予定しています。まさにビレッジとなるように宿泊の施設も備えるようになるでしょう。



こちらは、実際のフェーズ１のワイナリーを建設している様子です。３つのデザインがあり、すべて２×４で建てられています。



最後に、マスティンバーのいくつかの写真をご覧いただければと思います。この要素が最終的にイメージを決めるのですが、いろいろな詳細の中でどのようにまとまっていくのかを考えても、本当に素晴らしい素材です。学校や住宅、いろんなディテールやプロジェクトで楽しんで使っていることをお伝えして、本セミナーを終わらせて頂きます。



Q＆Aより





Q： 今回ワインビレッジの木造建築プロジェクトのお話がありましたが、近年どのような木造建築の傾向があるか教えてもらえますか？

A：2010年頃は、ワイナリーに木を使うのは一般的ではありませんでした。2012年にマスティンバー、グルーラム、CLTを使うようになり、実際にその建築物を見ることができるようになってから、クライアントから木造を使いたいという声も聞かれるようになりました。 クライアントが木造を希望すればスムーズですが、そうではない場合、HDRでは木造建築の美しさ、そしてコストのみならず、カーボンフットプリントの環境問題の面からもアプローチしています。



カナダリゾートセミナーは、ご好評につき、
今後も開催を予定しております。



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