【以下、記事要約】
19世紀半ばに始まったBC州のワインづくりは、現在では、名高いオカナガン・バレーとその隣シミルカミン・バレーだけでなく、リルエットからバンクーバー島のコモックス・バレーまで7つの産地に広がりました。そして、年間100万人の観光客が訪れ、ブリティッシュコロンビア州の経済に年間28億ドルの貢献をする産業となっています。
ブリティッシュ・コロンビア・ワイン・インスティテュートは、消費者、生産者、ワイナリー、観光・ホスピタリティ産業が今後10年間でどのような変化を見せるか考察した戦略的ビジョン”Wine BC 2030” を明らかにし、その中で、高コストや限られた労働力、気候変動、大麻産業などの潜在的な弱点をチャンスに変える提案がなされ、1本30ドルのプレミアム化、世界への輸出、最先端のアグリツーリズム戦略を打ち出しています。
(1) 持続可能な栽培の重要性
・地域によっては、寒い冬と暑く乾燥した夏の気候が、病気や害虫を管理しやすい環境を作り、比較的手つかずの土地に化学農業や除草剤を使わずに栽培が可能
・国際認証機関Demeter(デメテール)の認証を受けたビオデナミ農法のワイナリーや、オーガニックとビオデナミのワインづくりで伝説的な人物をコンサルタントに迎えたワイナリーなどの成功例から、ブドウ畑を有機栽培に転換する投資が活発化
・オーガニックはワインツーリズムのブランド化に貢献(オカナガンのブドウ畑の4%はオーガニック認証取得、今後5年で50%へ。「世界でもっともグリーンなワイン・バレー」を目指す。)
・気候変動は山火事などの潜在的課題をもたらす一方、プレミアム品種の最高級テロワールになる可能性をもたらしており、「クリーンでグリーンなブランド」化へ。
(2) 次世代ワイナリー
・ブドウはもはやコモディティ作物でなく利益を生む付加価値ビジネス。多種多様な背景をもつ人々や企業がワイナリーに参入
・小規模ワイナリーが多い中、ショップやレストラン、宿泊施設まで整った大型ワイナリーも増加中
(3) アグリツーリズム
・ワイナリーツアーを季節的なものから通年型観光へ変えることは地域全体の利益
・世界的な観光地への成長には、ユニバーサル・アクセス・ツーリズムの視点も必要
・インディジナス(先住民族)の体験を通年型ワイナリー・ツーリズムのさらなる成長へ(Destination British Columbiaの統計によると、BC州を訪れる観光客4人に1人が本物のインディジナス体験を求めている。)
(4)人的資本の拡充
・各ワイナリーは環境を整え、人材の確保に努める必要
・世界中からワイン専門家を呼び込むだけでなく、大学や地元民間企業が協力して、地域として才能ある人材を育成するインキュベーターへ
(5) 1990年にワインの品質認証機関ブリティッシュ・コロンビア・ヴィントナーズ・クオリティ・アライアンス(BC VQA)ができてから30年の成長
1990年:
認可ワイナリー 19 軒
栽培面積 1,293 エーカー
ブドウ園 115
BC VQAシェア 3%
BC VQA-認証ワイン 157 種
2020年:
認可ワイナリー 282軒
栽培面積 10,499+エーカー
ブドウ園 929
BC VQAシェア 19.2%
BC VQA-認証ワイン 2,127種
(6) 新型コロナについて
・外国からの農園労働者が締め出されたため一時労働力不足になったり、封鎖措置によりレストランやテイスティングルームが閉鎖され販売チャネルの半分を失ったりしたことに加え、今後の旅行者(特に海外)の減少が続く見通しであることが厳しい状況を生んでいる
・小規模ワイナリー生き残り戦略=オンラインでの直接販売を強化することとテイスティングルーム再開に向けた余念のない準備(予約システムの導入、丁寧に自分たちのストーリーを伝えること、来訪時の感動を友人や家族に共有してもらうこと、オンラインだけでなく対面で関係を築くこと)
[出典:https://www.bcbusiness.ca/Glass-Half-Full-BCs-wine-industry-is-filled-with-challenges-and-possibilities]
以上、BC州ワイナリーの最新情報まとめでした。詳しくは出典の記事をご確認ください。BCウッドでは、来年度もリゾートセミナーを計画中です。木造建築を積極的に取り入れるBC州のリゾート関連施設等の情報を今後もお伝えします。